日本航空問題と医療崩壊

2010/1/10 0:27

 すっかりお正月気分もぬけて、いつもの調子になってきました。うらかわ歯科医院に来院される皆さんもなんだかそんな模様。
 ここんとこ日航の株が激安になって、あこがれの飛行機会社も哀れな様子になっています。キャビンアテンダーは、昔はスチュワーデスさんと言って女性の憧れの職業だったのに、なんだか3Kの様子さえかもし出し、ほんと世の中どうなっちゃったのでしょう。
 とはいえ、テレビで電車と飛行機の舞台裏を見せるかっこいい番組があってましたが皆さん見ましたか?(東京メトロ・山手線・羽田空港・成田空港意外と知らないコト50)(テレ朝)たまには民放もまともなのやるんですね~(失礼)


 そこには、飛行機が安全に走行するための知られざる英知がまるでモスクのモザイク画のようにぎっしりちりばめられていました。 へ~、すご~い!テレビの前で家族の叫び声が上がります。一機フライトする裏には、すさまじい設備、ものすごい人の手間、過去からつみあげられてきた英知と技術が存在していました。もちろん電車も同じことです。
 考えてみれば、過去に惨事がなかったわけではありませんが、全体として見れば、奇跡のような少なさではないでしょうか。安全に走行するのは当たり前と誰もが思っています。でも、それは、ほとんど奇跡のようなことかもしれませんよ。その設備を、電車なら、ちょっと近くまでなら、数百円で利用できるし、高い飛行機でも格安チケットだと、へえ、と思うような金額で使えます。
 当たり前と思っている安全の、その後ろにある、すさまじいインフラや人の労力を改めて紹介されると、すごいコストなんだな~、とびっくりします。
 ということは、ここんとこいきつくとこまで行った感のある価格競争が加熱すれば、この仕組みはどうなるのだろう。大丈夫ではなくなるのではないか、と心配になりました。すごい責任を負ったスタッフだって、限界に達するだろうな~、とぼんやりと考えました。

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 すばらしい現場の英知を見ながら、私がどうしてそんな風に思うかというと、まさに医療現場がそのものだからなのです。たとえば、アメリカでは、十数万円かかる治療が、日本では5000円、(3割負担だから患者さんは1500円)。先進国では4人でやっていることが日本では0.5人、みたいなことが、もう慢性的にこの国では続いているからです。一つ一つの技術を見ると、すごいな~、名人芸!みたいな世界ですけど、保険診療は、いきつくところまでいった価格の切り詰めの中で繰り広げられる世界なのです。今医療人たちは悲鳴をあげています。(マスコミはなぜか、現場の真実を伝えてくれませんが)
 アメリカの医療制度は、金の切れ目が命の切れ目みたいな制度で、多くの問題をかかえています。アメリカの一般庶民からすると、日本は保険証一枚で誰でもが病院にかかれる夢のような国だと思います。ある記事によると、日本の医療制度を視察に来たアメリカ人が、この制度はアメリカには無理だ、と言ったそうです。この制度は、医療人の忍耐によって成立している、と。アメリカにはなじまない、と。

 でも、それすらも、限界、ということになれば、この国はどんな方向に行ってしまうのでしょうか。
医療に限らず、色んなところで、制度の崩壊が始まっているのではないでしょうか。
 いつも通る国道の沿線は、堅実と思われていた老舗のお店が、どんどんネットカフェやアダルト系の何を売っているのかもさだかでないような怪しげな店に置き換わっています。
 いろいろなところで、何やらとんでもないことが起こっている気配がたちこめています。

 安くて当たり前、何でも底値で・・・・なんて言っているうちに、もうとりかえしのつかない世界へ突入することがないように祈るばかりです。技術というものは、一朝一夕につみあげられるものではないし、一度伝承が切れれば、その技術そのものが消滅してしまいます。江戸の昔から職人は貧乏が当たり前のお国柄。手先の職人の一人として、憂いひとしおです。

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